東京地方裁判所 昭和55年(ワ)8044号 判決 1980年9月29日
原告
株式会社ミロク経理
右代表者
鈴木哲允
右訴訟代理人
和泉芳郎
外一名
被告
株式会社良和商行
右代表者
吉良善和
右訴訟代理人
松川雅典
主文
一 本件訴を却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実《省略》
理由
本件被告が、昭和五五年六月一六日、本件原告を被告として、本件各約定損害金の支払債務がないことを確認する旨の別件訴を提起し、右訴が現在同裁判所<編注・大阪地方裁判所>に係属していること、及び、本件訴が同年七月三〇日に提起されたことは、<証拠>及び本件訴訟記録によつて明らかである。
そこで、本件訴と別件訴とが民事訴訟法二三一条の重複訴訟にあたるか否か検討するに、本件訴と別件訴とは、それぞれ、同一当事者間における、同一債権に基づく、給付請求と債務不存在確認請求であるところ、両請求は訴訟物たる権利関係は同一であり、審判の重複と判決の矛盾はさけられないから、後訴において給付請求について債務名義を得るためには反訴によるを相当とすべく、それを別訴で提起した場合は、重複訴訟にあたると解すべきである。
よつて、本件訴は重複訴訟であるから、不適法として却下し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(並木茂)